そして、そうすることによって、将来の侵害ばかりでなく、過去の侵害によるXの精神的な損害をも一定程度軽減することができるものと考えられる。
このようにみてくると、本件においては、民法723条を類推適用して被告らに謝罪広告を命ずるのが、損害の原状回復の方法として、有効、適切、かつ、合理的であり、また公平の理念にも合致するというべきである」とした。
学説にも、「実態に即した具体的な考察が必要である」として、プライバシー侵害の場合にも、「断り書きであれば、加害者に強制することが不適当であるとはいえないし、侵害されたプライバシーが本質的に回復されることはないにせよ、補助的手段として否定するまでもない」(和田真一「誹謗中傷X損の特定的救済」「新・現代損害賠償法講座第2巻』[日本評論社]123頁)、「被害者がプライバシーの回復につながると考えて謝罪広告を要求している以上、適切な範囲内であれば認めてよいのではないか」(潮見佳男『不法行為法』[信山社]509頁)とする見解がある。
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