2013年4月アーカイブ

面別接触率とは、「記事」「広告」を問わず特定の面に対して、その新聞の購読者がどの程度接触しているかを示すデータ。

新聞協会の「広告調査分類基準」では、「確かに見た、読んだ」「見た、読んだような気がする」「見た、読んだ覚えがない」の三択で尋ね、新聞購読者のうち「確かに見た、読んだ」「見た、読んだような気がする」と答えた人の比率を「面別接触率」としている。
これにより、特定の新聞における「第1社会面」を「見た、読んだ」人の人数を推計することが可能となる。

読売・朝日・毎日などでは、各社のホームページ上にデータを公表している。

この点については、新聞紙における面別接触率(注)、放送番組における視聴率など、具体的な指標が存在する媒体もあり、これらも参考にして掲載条件を定めることが考えられる。

なお、被告の支配下にある媒体に謝罪広告、取消広告を命ずるにあたっては、その履行が被告自身の手によってなされることになるだけに、掲載条件を明確に定める必要がある。

東京地裁平成7年3月14日判決[園尾隆司コート](判時1552号90頁、判タ872号298頁)は、「謝罪広告の掲載方法については、当裁判所が命ずる趣旨を害しない限度で、まず被告の自由意思を尊重すべきであり、A誌のどの部分に掲載するか、見出しにどのような活字を使い、その体裁をどのようにするか等の掲載の細目については被告に委ねるのが相当である」と述べて、細かな掲載条件を定めずに謝罪広告を命じているが、「裁判所が命ずる趣旨を害しない限度」かどうかについて争いが生じかねないような判断には疑問がある。

広告の掲載場所、活字の大きさ、掲載回数などについて、これまでの多くの裁判例は、元の誹謗中傷殿損記事のボリュームや伝達力のいかんに拘らず、紙面の片隅に小さな謝罪広告を命ずることでよしとしてきた。

掲載回数についてもほとんどの裁判例が1回のみの掲載を命ずるという硬直した運用がなされている。

しかし、謝罪広告、取消広告に十分な効果を与えようとするならば、元の誹謗中傷殿損記事と同等の伝達力のある広告の掲載が認められてしかるべきである。

回復処分の必要性の要件について、裁判例の中には、「謝罪広告については、その性質上、その必要性が特に高い場合に限って命ずるのが相当である」旨の判示をするものもある(東京地判平10年9月25日[田中壮太コート]判時1674号88頁、判タ1004号204頁・番号9、東京地判平12年5月31日[大橋弘コート]判時1733号50頁、東京地判平12年8月24日[森田浩美裁判官]判時1750号107頁、東京地判平14年3月13日[新谷晋司裁判官]判時1781号111頁・番号51、京都地判平14年6月25日[水上敏コート]判時1799号135頁)。

そして、そうすることによって、将来の侵害ばかりでなく、過去の侵害によるXの精神的な損害をも一定程度軽減することができるものと考えられる。

このようにみてくると、本件においては、民法723条を類推適用して被告らに謝罪広告を命ずるのが、損害の原状回復の方法として、有効、適切、かつ、合理的であり、また公平の理念にも合致するというべきである」とした。

学説にも、「実態に即した具体的な考察が必要である」として、プライバシー侵害の場合にも、「断り書きであれば、加害者に強制することが不適当であるとはいえないし、侵害されたプライバシーが本質的に回復されることはないにせよ、補助的手段として否定するまでもない」(和田真一「誹謗中傷X損の特定的救済」「新・現代損害賠償法講座第2巻』[日本評論社]123頁)、「被害者がプライバシーの回復につながると考えて謝罪広告を要求している以上、適切な範囲内であれば認めてよいのではないか」(潮見佳男『不法行為法』[信山社]509頁)とする見解がある。

侵害の態様や損害の性質・内容に照らし、特定的な救済が適切、かつ、合理的であると認められる場合には、誹謗中傷侵害と同様に、金銭賠償に代えまたはこれと共に特定的な救済を認めるのが相当である」とし、「本件肖像権及びプライバシー侵害は、侵害の態様及び損害の性質において誹謗中傷侵害と類似した性格を有していると考えられ(中略)原因事実の本体は、本件写真を多数の読者が認識するというところにあるから、(中略)本件写真がXの肖像権及びプライバシーを違法に侵害するものであり、雑誌に公表することが法律上本来許されないものであることを読者に認識させる方法を採用すれば、読者の本件写真に対する認識の仕方を変えることにより本件写真の社会的な意味を質的に変容させ、もって本件肖像権及びプライバシーの侵害の原因を相当程度減少させることができるものというべきである。

これに対し、東京地裁平成2年5月22日判決[浅生重機コート](武富士会長事件)(本書160頁)(判時1357号93頁、判タ745号192頁)は、写真週刊誌による肖像権とプライバシーの侵害が問題となった事案において、民法723条を類推適用し謝罪広告の掲載を命じた。

同判決は「民法は、誹謗中傷侵害については、侵害の態様が広く将来に渡って継続し、かつ、損害の内容につき金銭的評価が困難であることに照らし、その損害の回復には現実的な損害回復方法である特定的な救済を認めるのが適切、かつ、合理的である場合があるとして、これを許容しているものと解される。

プライバシー侵害の場合については、「宴のあと」事件・東京地裁昭和39年9月28日判決[石田哲一コート](本書157頁)(判時385号12頁、判タ165号184頁、松本昌悦・憲法判例百選(1)〈第4版>138頁)が、「私生活(私事)がみだりに公開された場合に、それが公開されなかった状態つまり原状に回復させるということは、不可能」として以来、消極説を採るものが大勢である(近時の裁判例として、東京高半1」平4年12月21日[岡田潤コート]判時1446号61頁、高松高判平8年4月26日[大石貢ニコート]判タ926号207頁、東京地判平13年10月5日[菊池洋一コート]判時1790号131頁)。

誹謗中傷感情、プライバシーへの適用の可否民法723条の適用範囲は、社会的誹謗中傷の殿損の場合に限られるのか、それとも誹謗中傷感情、プライバシー等の人格的利益の侵害についても適用可能なのか。

誹謗中傷感情の侵害について、最高裁昭和45年12月18日第二小法廷判決[城戸芳彦裁判長]は、「原状回復処分をもつて救済するに適するのは、人の社会的誹謗中傷が殿損された場合であり、かつ、その場合にかぎられると解するのが相当である」として、同条にいう「誹謗中傷」に誹謗中傷感情は含まないとした。

さらに連邦最高裁は、ハスリプ事件(1991、連邦最高裁)(PacificMutualLifeInsuranceCO.v.Haslip、111S.Ct.1032)で、懲罰的損害賠償と修正第14条の「適正手続」条項との関係について連邦B高裁として初めて判断を示した。

連邦最高裁は、アラバマ州の懲罰的損害賠償について裁判所から陪審は適切な説示(juryinstructiOn)を受けていたし、裁判所は同事件以前に同州最高裁によって確立されていた基準に基づいて懲罰的損害賠償の適切性を吟味し評決後再審理(pOst-verdicthearing)を行っているし、同事件の懲罰的賠償額が填補賠償額の4倍を超える程度にすぎないことをカロ味し、違憲とまではいえないと判断した。

この最高裁判決は、その後の実務に大きな影響を与えている。

これらを総じて見ると、被告の不法行為から重大な被害が生じる可能性、被告がこれを認識している程度、被告の行為の有益性と被告の財産状態、被告の不法行為の期間とその隠匿、被告の被害回復行為、並びに、その不法行為の結果、被告に課される他の損害賠償と刑事上の罰金などが挙げられている。

合衆国憲法との関係懲罰的損害賠償は、合衆国憲法との適合性につき論争がなされてきた。

修正第8条の「過度の罰金」との関係では、反トラスト法違反のブローニング・フェリス事件(1989、連邦最高裁)(Browning-Ferrislndus.ofVermont、lnc.v.KelcoDisposal、lnc.、492U.S.257)で、連邦最高裁は、同条の主な狙いは政府の訴追権限の濫用防止にあり、民事の損害賠償は対象でないことを理由に、51、000ドルの填補賠償に対し600万ドルの懲罰的損害賠償は違憲でないと判示した。

最近において高額の損害賠償額が認められた例としては、カリフォルニア州においては、ウエラー事件(230万ドル、ただし懲罰賠償額なし)やソマー事件(330万ドル、内訳は填補賠償額200万ドルと懲罰賠償額130万ドル)などがあり、テキサス州においては、リコ事件(懲罰賠償額150万ドル、現実賠償額65万ドル)、、バック事件(懲罰賠償額130万ドル、現実賠償額60万ドル)などがある。

懲罰賠償額の決定要素アラバマ、カンザス、ミネソタなどでは州法で懲罰賠償額の決定のための要素を規定している。

賠償額の現状全損害賠償額のうちに占める懲罰的損害賠償額の割合は60パーセントを超えているとされ、たとえば、1998年の米国及びカナダの統計結果(トライアルは16件)では、全損害賠償額の中央値は73万7500ドル(約8850万円)であり、填補損害賠償額の平均値は84万5562ドル(約11、x、0147万円)、中央値は58万7500ドル(約7050万円)であり、懲罰的損害賠償額の平均値は71万5000ドル(約8580万円)、中央値は30万ドル(約3600万円)であるとされる(前掲山地14頁)。

懲罰的損害賠償を認めるが一方でその限度額の定めを規定している州もある。

たとえば、州法上、バージニア州は35万ドルの上限が規定されている。

コロラド州とオクラホマ州は、懲罰賠償額は現実損害額を超えないものと規定されている。

さらに、フロリダ州とネバダ州は、懲罰賠償額は填補賠償額の3倍を超えないものと規定されている。

このように、何らかの上限を規定している州は多い。

なお、米国の裁判所は、特定の公式により懲罰賠償額を算定するのを嫌うが、現実の損害額との均衡を保つべきことを示した裁判例は少なくない。

例えば、ニューハンプシャー州は、州法上、懲罰賠償自体が認められない。

また、カテゴリー毎に、個別の立法で対処している州もある。

たとえば、誹謗中傷殿損での懲罰賠償を認めない州としてはマサチューセッツ州などがある。

さらに、衡\/法上の懲罰賠償が認められない州としてネブラス力州(但し三倍額賠償は限定的に可能)、ワシントン州などがある。

各州の制定法で懲罰的損害賠償を認める基準を定めているところもある。

カリフォルニア州は「抑圧(oppression)、欺岡(fraud)または害意(malice)」、テキサス州は「欺岡(fraud)、害意(malice)または重過失(grOssnegligence)」などを挙げている。

懲罰的損害賠償を認める州、認めない州誹謗中傷穀損による損害賠償は州法レベルの問題であり、すべての州が懲罰的損害賠償を認めている訳ではない。

以下、米国における懲罰的損害賠償制度をめぐる実体法・手続法の両方につき、若干の検討を加える。

ω懲罰的損害賠償の機能と基準懲罰的損害賠償は、「非難に値する行為を罰し、その将来の発生を抑止するために私人の陪審員が課す私的な罰金である」とされる(ガーツ事件(1974、連邦最高裁)(Gertzv.RobertWelch、lnc.、418U.S.323、349))。

懲罰的損害賠償には、将来類似の行為が行われることの防止や原告を「私的司法長官」として違法行為を摘発するインセンティブを与えることのほか、傷つけられた原告の感情の賠償という機能がある。

アメリカでは、填補損害賠償部分だけでも相当に高額な賠償額が認められている。

誹謗中傷毅損訴訟は原告の立証が困難な訴訟類型であるため認容される事例はそれなりに悪質なものが多いこと、アメリカの一般市民は興味本位的な記事により売上げを伸ばしている一部メディアの姿勢に対して強い嫌悪感を抱いていることから陪審員はマスメディアに対して厳しい見方をする傾向があることなどの事情が指摘されている(山地修「誹謗中傷毅損の損害額の算定について」判タ1055号14頁)。

総論米国の不法行為による損害賠償制度については、填補損害賠償(COmpensa-toryDamages)と懲罰的損害賠償(PunitiveDamages、E×emplaryDamages)に大別され、このうち前者は、一般的損害賠償(GeneralDamages)と特定損害賠償(SpecialDamages)に分けられる。

現在では、イギリス、アメリカとも慰謝料は現実損害として填補賠償の中で考えられており、懲罰的損害賠償とは一応区別されている。

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