2012年6月アーカイブ

純粋な意見

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アメリカでは、伝統的に、事実と意見を区別して、純粋な意見は誹謗中傷段損の対象とならないと考えられていた。

たとえば、ガーツ(Gertz)事件では傍論ではあるが、「修正第1条においては誤った思想は存在しない。意見が有害にみえても、その是正のために、裁判官や陪審員の良心ではなく、他の思想との競争によるほかない。しかしながら、誤った事実の表明に憲法的価値は存在しない」(判例集339-40頁)とされていたがごとくである。

ところが、連邦最高裁が、1990年(平成2年)、誹謗中傷段損において意見と事実とを画一的に区分して判断するという立場に対して歯止めをかけたのがミルコヴィッチ事件である。

その事案は次のとおりである。

1974年2月、オハイオ州のメイプル・ハイッ高校のレスリング部が他校と対抗試合の際、レフェリーの判定をめぐり乱闘となり生徒が怪我をするという事件が発生した。

そのためオハイオ高校運動連盟が同校の試合出場停止命令を発したが、親らが州地裁へ命令差し止めを求めた結果、同裁判所から命令を取消す旨の決定がなされた。

しかし、決定翌日、被告(新聞社)が、「メイプル高校、『大嘘』で法律を破る」との見出しのもと、同校の教師兼レスリング・コーチであったミルコヴィッチが審理中になした証言をとりあげ、「試合を見ていた者は、ミルコヴィッチ...が、真実を述べるという厳粛な宣誓をしたにもかかわらず嘘をついたということをはっきり理解している」との記事を掲載した。

これに対し、ミルコヴィッチが新聞社と記事の著者を相手に誹謗中傷x損訴訟を提起した。

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