イラスト画については、写真とは異なり、「その描写に作者の主観や技術が反映するものであり、それが公表された場合も、作者の主観や技術を反映したものであることを前提とした受け取り方をされるものである」との特質を指摘し、イラスト画の公表が社会通念上受忍の限度を超える違法なものか否かの判断に当たっては、「写真とは異なるイラスト画の上記特質が参酌されなければならない」として、「我が国において、一般に、法廷内における被告人の動静を報道するためにその容ぼう等をイラスト画により描写し、これを新聞、雑誌等に掲載することは社会的に是認された行為である」との判断を示し、これによれば、被上告人(注:刑事被告人A)が訴訟関係人から資料を見せられている状態及び手振りを交えて話しているような状態が描かれた2枚のイラスト画を記事に組み込み、フォーカスに掲載して公表した行為については、社会通念上受忍すべき限度を超えて被上告人の人格的利益を侵害するものとはいえないとした。
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