この点については、新聞紙における面別接触率(注)、放送番組における視聴率など、具体的な指標が存在する媒体もあり、これらも参考にして掲載条件を定めることが考えられる。
なお、被告の支配下にある媒体に謝罪広告、取消広告を命ずるにあたっては、その履行が被告自身の手によってなされることになるだけに、掲載条件を明確に定める必要がある。
東京地裁平成7年3月14日判決[園尾隆司コート](判時1552号90頁、判タ872号298頁)は、「謝罪広告の掲載方法については、当裁判所が命ずる趣旨を害しない限度で、まず被告の自由意思を尊重すべきであり、A誌のどの部分に掲載するか、見出しにどのような活字を使い、その体裁をどのようにするか等の掲載の細目については被告に委ねるのが相当である」と述べて、細かな掲載条件を定めずに謝罪広告を命じているが、「裁判所が命ずる趣旨を害しない限度」かどうかについて争いが生じかねないような判断には疑問がある。
コメントする